空気が硬さを持って頬を切る。
夜の天井には夏よりも多く星がぶらさがっているのだ。
肺一杯に冷たい大気を吸い込んで。
体温を冷ましている。
貴方があたしの身体の上で喘いでいる顔が堪らなく好き。
眉間に皺を寄せて小さくぁ、と声をあげる時、あたしも切なくなった。
指という指を絡め、肌という肌を合わせて。
陳腐な言い方かも知れないけど「溶けてしまいたい」と思わせてくれたの。
唇を合わせたまま舌を差し入れられてあたしの頭の中は靄がかかる。
貴方の頭を抱きかかえて匂いを嗅ぐ。
貴方の器官に軽く歯を立てる。
その時胸を絞られるような感覚に襲われてあたしと貴方は同時に四肢を震わせた。
だいすきだよ
あたしたちは言葉を持たない。
でも聞こえたんだ、確かに。
ううん、そうおもいたかっただけかもね。
でもね、あたしは貴方の全てを受け入れる。
貴方の全てを飲み干した。
もっともっと、嗚呼足りない。
貴方の体温を身体の中に感じながらあたしは恍惚とする。
あたしは貴方を全部食べ終わったあと一粒涙を落として眠った。
そして走り出したんだ。
12月の寒い空の下。
仲間たちはとっくに寿命を終えているはずだった。
あたしはどうして今日まで生きてたんだろう?
あ、これだ。
あたしは小さな頭を上げてピカピカ光る明かりに向かって言った。
メリィ・クリスマス。
おやすみ。
冬の小さな公園の植え込みに褐色の蟷螂が一匹、死んでいた。
誰かが季節はずれだと気づくことも無く。
蟷螂は枯葉と一緒に風に吹かれて、すぐにその姿を消した。